日経サイエンス  2018年5月号

特集:暗黒物質の正体

もうひとつの見えない粒子「ステライルニュートリノ」

中島林彦(日本経済新聞) 協力:丸山和純(高エネルギー加速器研究機構)

ニュートリノは電子型,ミュー型,タウ型の3種類の存在が知られる。それらの質量などに関する情報は,ニュートリノが飛行する間に種類が変わる「ニュートリノ振動」の実験によってかなりわかってきた。ただ一部のニュートリノ振動実験では,未知の種類の存在を示唆する結果が報告されている。他の実験結果との整合性を考えると,未知の種類は既知の3種類と違って,放射性元素の崩壊などを起こす「弱い力」が作用しない「ステライル型」だと考えられている。ステライル型が実在するのかどうか確かめるため,大強度陽子加速器施設「J-PARC」で大がかりな実験が年内にも始まる予定だ。

著者

中島林彦 / 協力:丸山和純

中島は日本経済新聞記者。丸山は高エネルギー加速器研究機構素粒子原子核研究所准教授。ステライルニュートリノを探索するJSNS2実験の代表を務める。

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