日経サイエンス  2018年3月号

特集:生命の起源

地下にいた始原生命体

中島林彦(日本経済新聞) 協力:鈴木庸平(東京大学) 鈴木志野(海洋研究開発機構)

これまで知られている微生物より微小で,ゲノムサイズもかなり小さく,生物にとって必須とされる遺伝子の多くが欠落している奇妙な微生物群の存在が明らかになった。CPRと略称されるこの微生物群は,土壌などの一般的な環境では少数派だが,普通の生物が生きていけない地下深部世界では多数派となっている。その正体を解明する研究が進んでいるが,もしかするとCPR細菌は地球で最初に誕生した生命の名残を色濃く残す微生物なのかもしれない。
 

 
再録:別冊日経サイエンス235「進化と絶滅 生命はいか誕生し多様化したか」

著者

中島林彦 / 協力:鈴木庸平 / 鈴木志野

中島は日本経済新聞科学技術部記者。鈴木庸平は東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻の准教授。鉱物と生命の相互作用に興味がある。現職に就く前,海洋研究開発機構などで深海底の熱水噴出域の生物群集の研究に取り組んだこともある。鈴木志野は海洋研究開発機構の次世代海洋資源調査技術研究開発プロジェクトチーム成因研究ユニット・高知コア研究所地球深部生命研究グループの特任主任研究員。米クレイグ・ベンター研究所で7年間研究した後,現職。

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