
新薬候補物質を効率よく見つけ出す特殊ペプチドを開発
大学発ベンチャーを創設し世界の製薬大手と提携した
黒字経営を支える基盤技術になっている
創薬を目指す大学発のベンチャー企業(VB)の大半が赤字経営に苦しむ中で,黒字経営を続ける異色企業がある。2006年に創業したペプチドリームだ。13年に東証マザーズに上場(15年に東証1部に市場替え)し,時価総額は4000億円を超える。創業者は東京大学教授の菅裕明だ。標的タンパク質に極めて強く結びつき効率よく創薬候補を見つけ出す「特殊ペプチド」を開発し,同社の快走を支える基盤技術となっている。 (文中敬称略)
菅裕明(すが・ひろあき)東京大学大学院理学系研究科教授。1963年岡山市生まれ。岡山大学修士課程修了後,米マサチューセッツ工科大学に進み94年博士号取得。米ニューヨーク州立大学准教授などを経て2003年,東京大学先端科学技術研究センター助教授,10年から現職。06年にベンチャー企業,ペプチドリームを創業し社外取締役に。専門はケミカルバイオテクノロジー。