日経サイエンス  2018年2月号

胎盤の不思議

A. アーレバッカー S. J. フィッシャー(ともにカリフォルニア大学サンフランシスコ校)

胎盤は必要な栄養などを母体から胎児へ供給している重要な臓器だが,いまだに謎も多い。胎盤は胚から発生する組織で,母体にとっては基本的に“異物”であるはずなのに,母親の免疫系はこれを拒絶しないどころか,胎盤の形成と子宮への侵入をむしろ助けている。胎盤の機能不全は母子の健康を大きく損なうが,その詳細を解明する試みも進んでいる。

 

 

再録:別冊日経サイエンス225「人体の不思議」

著者

Adrian Erlebacher / Susan J. Fisher

アーレバッカーはカリフォルニア大学サンフランシスコ校医学部臨床検査医学科の教授。妊娠中の子宮が胎盤に対する免疫学的寛容を持つようになる理由をマウスを使って探っている。フィッシャーは同校の産婦人科・生殖科学科の教授。妊婦における胎盤の形成と,その過程の異常がどのように合併症に結びつくのかを調べている。

原題名

Baby’s First Organ(SCIENTIFIC AMERICAN October 2017)

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