日経サイエンス  2018年1月号

フロントランナー 挑む 第77回

細胞たちの“声”を聞き身体の成り立ちを解き明かす:高橋 淑子

詫摩雅子(科学ライター)

たった1個の細胞である受精卵から身体ができあがっていくとき
細胞たちはさかんに“会話”をかわす
その声を聞きながら,秩序ある“細胞の社会”の成り立ちを探る

 

 2017年4〜6月に国立科学博物館(東京・上野)で,発生学をテーマにした企画展が開かれた。内容は発生生物学の最新の知見に触れる学術的にもハイレベルのもの。一般にはあまりなじみのないテーマだったが,科博で開催されたこの規模の展示としては過去最高の22万4000人を超える入場者数を記録した。この企画展を「やりたい」「やる」と言い出し,所属する日本発生生物学会に働きかけたのが京都大学教授の高橋淑子である。 (文中敬称略)

 

 

高橋淑子(たかはし・よしこ)
京都大学大学院理学研究科教授。1960年広島市生まれ。広島大学を卒業後,京都大学大学院に進学し,岡田節人に学ぶ。1988年に博士課程修了(理学博士)。同年よりフランス発生生物学研究所のニコル・ルドワランのもとで客員研究員として過ごす。米オレゴン大学,コロンビア大学,奈良先端科学技術大学院大学,理化学研究所発生・再生科学総合研究センターなどを経て,2012年より現職。

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