日経サイエンス  2017年12月号

特集:ニュートリノの物理学

日本のハイパーカミオカンデ始動へ

中島林彦(日本経済新聞) 協力:塩澤眞人(東京大学宇宙線研究所)

「カミオカンデ」「スーパーカミオカンデ」で世界のニュートリノ研究をリードしてきた日本で,それらに続く第3世代の実験施設「ハイパーカミオカンデ」の計画が固まった。早期着工が期待されている。 ニュートリノが飛行中に種類を変える「ニュートリノ振動現象」の精密観測を通じて,粒子と反粒子の微妙な違いである「CP対称性の破れ」の存在を探ったり,3種類あるニュートリノの質量の大小関係を調べる。ライバルとなる米国や中国の実験施設の建設はすでに始まっており,激しい研究競争が予想されている。

中島は日本経済新聞科学技術部記者。塩澤は東京大学宇宙線研究所教授。ハイパーカミオカンデのプロジェクトリーダー。専門は素粒子物理学。スーパーカミオカンデを使ってニュートリノの研究に取り組んできた。T2K実験を主導する京都大学の中家剛教授,高エネルギー加速器研究機構の小林隆教授とともに第6回戸塚洋二賞を受賞。

サイト内の関連記事を読む

キーワードをGoogleで検索する

カミオカンデスーパーカミオカンデハイパーカミオカンデ神岡鉱山ニュートリノ振動CP対称性の破れ質量階層性マヨラナ粒子陽子崩壊大統一理論カムランドニュートリノ二重ベータ崩壊T2KJ-PARC