日経サイエンス  2017年11月号

誰が作ったのか? 最古の石器発見で揺らぐ定説

K. ウォン(SCIENTIFIC AMERICAN 編集部)

2015年,ある国際研究チームがケニアのトゥルカナ湖北西岸のロメクウィ3遺跡で330万年前の石器を発見したと発表した。これまでの定説によると,人類は300万年前から200万年前にかけての気候変動に適応するなかで技術に依存するようになり,現生人類と同じホモ属が石器を生み出したとされる。石器技術の起源がさらに古いことを示唆する発見もいくつかあったが,確証はなかった。これに対し330万年前の石器は最古のホモ属の化石よりもはるかに古い。さらなる石器の発見で年代が確定すれば,技術の起源に関するこれまでの学説と,技術が人類の系統樹をどう形作ったかを大幅に見直さなければならないだろう。
 
 
再録:別冊日経サイエンス242「人間らしさの起源 社会性,知性,技術の進化」

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人類を進化させた石器作り」,D. スタウト,2016年10月号

原題名

The New Origins of Technology(SCIENTIFIC AMERICAN May 2017)

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ロメクウィ3遺跡オルドヴァイ型石器貝殻状断口