日経サイエンス  2017年10月号

ヒトらしさを生んだ遺伝子欠失

P. L. レノ(フィラデルフィア・オステオパシー医科大学)

大きな脳などの特徴をヒトは進化の過程でどのように獲得したのか? それらのもとになる遺伝子を新たに獲得したのだろうと考えがちだが,そうではないようだ。近年のゲノム解析で,他の哺乳動物にあってヒトでは失われたDNA配列が500カ所以上見つかった。そのうち著者らが調べた3つの配列は遺伝子を調節するスイッチで,それらを欠失したことが脳の大型化や直立歩行を促進し,夫婦の絆を深めたようだ。

 

 

再録:別冊日経サイエンス242「人間らしさの起源 社会性,知性,技術の進化」
再録:別冊日経サイエンス225「人体の不思議」

著者

Philip L. Reno

フィラデルフィア・オステオパシー医科大学生物医学科の准教授。

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DNAに見えた『人間の証し』」,K. S. ポラード,2009年8月号

原題名

Missing Links(SCIENTIFIC AMERICAN 2017 May)

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