日経サイエンス  2017年10月号

特集:日本海溝移動説

東北の山脈はこうしてできた

中島林彦(日本経済新聞) 協力:高橋雅紀(産業技術総合研究所)

日本列島は東日本を中心に300万年前から東西方向の圧縮を受け,険しい山脈や盆地,平野などが形成された。その理由は不明だったが,300万年前,沈み込んだフィリピン海プレートが関東直下のマントル内で,東日本が乗るプレートと太平洋プレートで構成される“壁”とぶつかって動きを変えたためだとする新説が提唱された。新説によれば,このフィリピン海プレートの大変動で東日本の東縁を構成する日本海溝が西方に移動し始めた結果,東日本の陸域が東西圧縮され,内陸部や日本海東縁で歪みが蓄積し,地震が起きるようになった。

著者

中島林彦(なかじま・しげひこ) / 高橋雅紀(たかはし・まさき)

中島は日本経済新聞科学技術部記者。高橋は産業技術総合研究所地質調査総合センター地質情報研究部門の研究主幹。専門は地質学,特に日本列島のテクトニクスと年代層序学。東北大学での卒業研究で秩父盆地の地質調査に取り組んだのが,この道に入るきっかけ。NHKスペシャル「列島誕生 ジオ・ジャパン」第2集の制作に協力,NHKの番組「ブラタモリ」の秩父編と長瀞編では案内人として登場した。高橋博士のウェブサイトには本記事で紹介した紙模型の作り方も掲載されている(https://staff.aist.go.jp/msk.takahashi/)。

サイト内の関連記事を読む

キーワードをGoogleで検索する

プレートテクトニクス海洋プレート太平洋プレートフィリピン海プレート日本海溝相模トラフ南海トラフ日本海東縁歪集中帯糸魚川-静岡構造線中央構造線新潟-神戸歪集中帯ユーラシアプレート東日本大震災出羽変動六甲変動黒滝不整合ハワイ-天皇火山列奥羽山脈茨城県南部火山フロントアムールプレート地殻マントルマグマ阪神・淡路大震災兵庫県南部地震日本海中部地震新潟地震熊本地震首都南部直下地震安政江戸地震関東平野房総半島