日経サイエンス  2017年10月号

特集:日本海溝移動説

東北地方の東方沖の深海底には世界有数の海溝,「日本海溝」が南北に走っている。長さ約800km,幅約100km,最深部の深さは8000mに達する。東日本大震災をもたらした大地震は,日本海溝付近の深海底下で起き,大津波が各地を襲った。この大地震で日本海溝周辺の深海底や東日本の陸域が変動したが,日本海溝そのものは不動の存在だと多くの研究者は漠然と考えてきた。ところが日本海溝は西方へ,つまり日本列島の方に年間1cm程度のペースでじわじわと動いているとの新説が発表された。日本海溝の西方移動によって,東北地方の険しい山並みが形成され,東日本各地で内陸地震が起きているという。日本海溝移動説の詳細を,提唱者である産業技術総合研究所の地質学者,高橋雅紀博士の協力を得て紹介する。

 

 

東北の山脈はこうしてできた  中島林彦 協力:高橋雅紀
フィリピン海プレートの動きを探る  中島林彦 協力:高橋雅紀

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