日経サイエンス  2017年9月号

トウモロコシを守れ ネクイハムシ との戦い

H. ノードハウス(ジャーナリスト)

 ウエスタンコーンルートワームというネクイハムシは米国のトウモロコシ農家が最も恐れる害虫だ。このハムシの幼虫がトウモロコシの根を食べ,枯らしてしまう。「ビリオン・ダラー・バグ(10億ドル金食い虫)」と呼ばれるが,実際の被害は毎年20億ドル近いとされる。ネクイハムシに対する毒素を作り出す土壌細菌の遺伝子を組み込んだトウモロコシ品種が2000年代になって開発され,被害はいったん収まったものの,これが効かないハムシが出現した。最新の対抗策は,ネクイハムシの特定の遺伝子に作用する分子をトウモロコシに組み込み,この昆虫を殺す。果てしのない戦いを現場からリポートする。

 

 

再録:別冊日経サイエンス222「食の未来 地中海食からゲノム編集まで」

著者

Hannah Nordhaus

科学,歴史,自然について執筆しているジャーナリスト。著書に「The Beekeeper’s Lament」(Harper Perennial,2011年),「American Ghost」(Harper,2015年)がある。コロラド州ボルダー在住。

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走り出すRNA干渉ビジネス」,G. スティックス,2005年1月号。

原題名

Cornboy vs. the Billion-Dollar Bug(SCIENTIFIC AMERICAN March 2017)

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