
主にムギ類に感染する「赤かび病」は広域の畑に壊滅的な被害をもたらす病害で,気候変動の影響もあって世界各地に広がっている。原因菌はフザリウム・ グラミネアラムという真菌(糸状菌)で風に乗って広がる。著者たちはドローン(無人飛行機)と高度なシミュレーションを用いて,この菌がどこまで運ばれるかを調べた。この結果,様々な天候によって刻々と複雑に変化する気流に沿って数十kmから数百kmも移動することが判明した。一過的に生じる「ラグランジアン・コヒーレント構造」という空気の“壁”が気流に大きく影響している。この研究は病原体の拡散を監視して作物を守る最も有効な対策を見極めるのに役立つだろう。
著者
David Schmale / Shane Ross
シュマーレはバージニア工科大学の植物病理・生理・雑草学科の教授。ロスは同大学医用生体機械工学科の動的システムと流体力学の准教授。
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「黄砂が運ぶ微生物」,中島林彦,2013年5月号。
原題名
High-Flying Microbes(SCIENTIFIC AMERICAN February 2017)
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真菌/糸状菌/赤かび病/ダイズさび病/マイコトキシン/フザリウム・グラミネアラム/ラグランジアン・コヒーレント構造(LC構造)