日経サイエンス  2017年8月号

特集:アルツハイマー病はこう防ぐ

編集部

世界の認知症患者はおよそ5000万人。うち6〜7割がアルツハイマー病だ。治療薬の開発が相次いで失敗する中で,近年,いかに発症を防ぎ認知機能を保つかを目指す研究が進んでいる。特に有名なのはフィンランドで実施された大規模調査だ。1260人の高齢者から無作為に629人を選び,地中海式食事,筋トレや有酸素運動,認知機能の課題や医療者による健康チェックに取り組んでもらった。2年間追跡したところ,たまの健康指導とチェックだけだった残りの629人より,認知機能が25%高かった。また脳に同じような病変があっても,認知機能が高く保たれている人と,認知症になってしまう人がいる。この差は若い頃の学習や引退後の生活の仕方に関係があることがわかってきた。

 

 

大規模調査で見えたカギ 生活習慣でリスク低減

M. キビペルト/K. ハカンソン

アルツハイマー病に負けない力を蓄える

D. A. ベネット