
宇宙には無数のブラックホールが闇の中に潜んでいるが,所在がわかっているものはごく少数にすぎない。ところが近年,新たなアプローチによって,これまで見過ごされていたブラックホールのうごめきが捉えられるようになった。1つは銀河中心に鎮座する超大質量ブラックホールの活動だ。現在進んでいる広域掃天観測によって,そうしたブラックホールが星を引き裂いて呑み込み,吸い寄せた物質の一部をジェットとして噴射する様子が見えてきた。また各銀河には太陽の数倍~数十倍の質量のブラックホールが推定1億個以上存在するが,ガスや塵からなる雲の電波観測から,ブラックホールの強大な重力によって生じたガスの高速流が検知された。ブラックホールの進化に新たな光が当てられている。
星を引き裂く姿 潮汐破壊現象 S. B. センコ/N. ゲーレルズ
放浪するブラックホールを探す 中島林彦 協力:岡 朋治