日経サイエンス  2017年7月号

硫黄の川が生んだカダヤシの進化

R. リーシュ(英ロンドン大学ロイヤル・ホロウェイ校) M. プラス(中国・西北農林科学技術大学)

メダカに似たグループであるカダヤシ科の魚には,有毒レベルの硫化水素を含む河川で生きていけるように進化した種がいくつかあり,致死的な環境で生き延びるのに適した形質を共有している。DNA解析の結果,これらの魚が異なる分子経路を通じて同様の適応を獲得したことがわかった。つまり,ある環境ストレス要因に対して同じ適応を生むような遺伝的道筋が数多く存在し,極限環境が種分化を促している。
 

 
再録:別冊日経サイエンス233「魚のサイエンス」

著者

Rüdiger Riesch / Martin Plath

リーシュはロンドン大学ロイヤル・ホロウェイ校の進化生物学の講師。生物多様性を生成・維持・抑制しているメカニズムを研究している。プラスは中国の咸陽市にある西北農林科学技術大学の基礎・応用動物学の教授。動物の行動,行動進化,局所的適応,種分化を研究している。

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シクリッドの進化」,A. メイヤー,日経サイエンス2015年8月号。

原題名

Evolution at the Limits(SCIENTIFIC AMERICAN April 2017)

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カダヤシ硫化水素真骨魚類硫化物・キノン酸化還元酵素シトクロムcオキシダーゼエコタイプ種分化