
「トランプ政権がもたらしつつある米国の科学政策の混乱は,2つの方向で世界に影響を及ぼす可能性がある。予算削減で中止や縮小を余儀なくされる研究プログラムが増えてくれば,世界の科学研究に及ぼす影響は甚大だ。……考えうるもう1つの影響は,科学研究の勢力図の変化だ。永野博・政策研究大学院大学教授は『世界の科学研究の中心が西に移動する傾向を加速する』とみる。」(本文より)
日本経済新聞の滝順一編集委員が,トランプ政権が世界の科学技術に与える影響について解説した。米国はほぼすべての国にとって最大の共同研究相手で,その科学政策は世界に影響する。また今回の変化の底流には,科学技術の発展が必ずしも雇用や豊かさにつながらず,社会の規範として認める力が弱まっていることがあるという。
専門家へのインタビューでは,外務大臣科学顧問の岸輝雄氏が米国の予算削減が日本の若手研究者に及ぼす影響について,科学史が専門の塚原東吾・神戸大学教授が米国社会で科学への信頼が失われつつある理由について語った。