
鳥類が恐竜から進化したことは以前から知られている。しかし,陸上にすむ巨大な恐竜から空を飛ぶ身軽な鳥への移行はどのように進んだのか? 中国などで大量に発見された羽毛恐竜の化石を解析した結果,それがようやく明らかになってきた。羽根や中空で軽い骨など,鳥類の顕著な特徴は現在の機能とは別の目的で個別に生じたことが示された。特に羽根の解析で大きな役割を果たしたのが,化石から絶滅動物の色を推定する新手法だ。軟組織は化石に残らないと考えられてきたが,メラニンなどの色素が化石に保存されていることが明らかになり,恐竜の体表や羽毛の実際の色を推定できるようになった。再現された色パターンは,大昔の動物の生態についても新事実を教えてくれる。
羽根と翼の進化 S. ブルサット
見えた! 恐竜の色 J. ヴィンサー