日経サイエンス  2017年6月号

特集:インフレーション理論の現在

小松英一郎が語る 絞られてきたモデル

中島林彦(日本経済新聞) 協力:小松英一郎(独マックス・プランク宇宙物理学研究所)

誕生直後に宇宙が急膨張したとするインフレーション理論は宇宙最古の光,「宇宙マイクロ波背景放射」の全天観測によって検証が進んでいる。独マックス・プランク宇宙物理学研究所の小松英一郎所長は,この研究の流れを生み出した探査機WMAPのデータ解析で中心的役割を果たした。インフレーションのモデルは多数提唱されているが,小松博士によると,有力なモデルの多くは淘汰され,最初期のモデルが改めて脚光を浴びている。現在,インフレーションで生じたと考えられる原始重力波の探索が進んでおり,その結果でモデルの正しさが試されることになる。

 

 

再録:別冊日経サイエンス229「量子宇宙 ホーキングから最新理論まで」

著者

中島林彦 / 協力:小松英一郎

中島は日本経済新聞科学技術部記者。小松は独マックス・プランク宇宙物理学研究所長。1974年兵庫県出身。東北大学大学院博士課程在籍時からプリンストン大学で研究,2001年プリンストン大学のポスドク研究員としてWMAPプロジェクトに参画,データ解析で中心的役割を果たす。2003年からテキサス大学オースティン校に移り,2010年同大学教授,2012年から現職。東京大学カブリ数物連携宇宙研究機構(IPMU)の客員上級科学研究員も兼務。一般向けの著書(共著)に『宇宙の始まり,そして終わり』(日経プレミアシリーズ283)がある。

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