日経サイエンス  2017年5月号

特集:スターショット計画

亜光速でアルファ・ケンタウリへ

A. フィンクベイナー(サイエンスライター)

シリコンバレーの大富豪ユーリ・ミルナーの資金援助によって,太陽系に最も近い隣の恒星アルファ・ケンタウリ(ケンタウルス座アルファ星)に“宇宙船“を送り込む「ブレークスルー・スターショット」という計画が持ち上がっている。小さなコンピューターチップに“ライトセイル”という帆をつけ,これに地上から強力なレーザー光を当てることによって光速の20%に加速する。4.73光年離れた星に20年かけて到達したら,写真撮影などの観測結果を地球に送り返す。物理学者のホーキングらビッグネームも顧問に名を連ねるこの計画,本当に実現するのだろうか? 多くの専門家は見込み薄とみるが,実にエキサイティングな構想であることは事実だ。



再録:別冊日経サイエンス254『SFを科学する 研究者が語る空想世界』
再録:別冊日経サイエンス223「地球外生命探査」

著者

Ann Finkbeiner

ボルティモアを本拠に活動するサイエンスライター。特に天文学と宇宙論,科学と国家安全保障の関係に関する著述が多く,うまくいきそうもない突飛な技術が好み。近著はスローン・デジタル・スカイサーベイによる全天地図づくりプロジェクトに関する「A Grand and Bold Thing」(Free Press,2010年)。

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ブレークスルー・スターショットのウェブサイト
宇宙船新人類」,C. M. スミス,日経サイエンス2013年9月号。

原題名

Near-Light-Speed Mission to Alpha Centauri(SCIENTIFIC AMERICAN March 2017)

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