
世界で毎年数万人が臓器移植を受けているが,提供される臓器の数は足りていない。欧州では平均毎日16人,米国では22人が移植用の心臓や肝臓などを待つ間に亡くなっている。そこで,最新の幹細胞技術を使ってヒトの臓器をブタなどの動物の体内で作る方法が研究されている。特別な処理をしたブタの胚に適切な条件のもとでiPS細胞などのヒト幹細胞を注入し,できた「キメラ」の体内でヒトの膵臓や腎臓などの臓器を育てる。著者のグループは規制当局から必要な許可を得られたら,キメラブタを臨月まで育てて移植に使える臓器ができているかどうかを確認する予定だ。実現すれば,移植用臓器の不足が解消されるだろう。
著者
Juan Carlos Izpisúa Belmonte
カリフォルニア州にあるソーク研究所の遺伝子発現研究室教授。
原題名
Human Organs from Animal Bodies(SCIENTIFIC AMERICAN November 2016)
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臓器移植/キメラ/幹細胞/iPS細胞/胚盤胞補完法/CRISPR/Cas9/ゲノム編集/膵臓