日経サイエンス  2017年4月号

とける永久凍土

T. シューア(北アリゾナ大学)

本来は年間を通じて凍ったままの永久凍土が,北極の広い範囲で融解している。そこに含まれている動植物の残骸を微生物が分解すると,二酸化炭素とメタンが生じる。北半球の永久凍土は大気中に存在する炭素の2倍近い有機炭素を含んでいる。その5~15%が今世紀中に大気中に放出される可能性があることが,多数のセンサーの計測結果から示唆された。地球温暖化を加速する重荷となりそうだ。

 
 
 
再録:別冊日経サイエンス240「気候大異変 いま地球で何が起こっているのか」
再録:別冊日経サイエンス231「アントロポセン──人類の未来」

著者

Ted Schuur

北アリゾナ大学の生態系生態学の教授。20年近くにわたって北極各地でフィールド調査を実施してきた。永久凍土の炭素と気候への影響に関する国際研究コンソーシアム「パーマフロスト・カーボン・ネットワーク」の主任研究員でもある。

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ツンドラの湖に潜むメタン」,K. W. アンソニー,日経サイエンス2010年3月号。

原題名

The Permafrost Prediction(SCIENTIFIC AMERICAN December 2016)

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