
ベトナム戦争の際に米軍が散布した枯葉剤「エージェントオレンジ」は猛毒のダイオキシンを含んでいたため,先天性奇形など悲惨な障害を引き起こした。その影響は現在に及んでいる可能性がある。ベトナムの医師たちによると,曝露した人の子供や孫に遺伝的障害を引き起こしているという。その可能性を示す動物実験はあるが,人間について科学的に確かなことはいえない。戦争が残した重い問題を追った。
再録:別冊日経サイエンス251『「戦争」の現在 核兵器・サイバー攻撃・安全保障』
著者
Charles Schmidt
メイン州ポートランドを拠点に活動するフリーランスのジャーナリスト。世界の環境問題と健康問題を追っている。枯葉剤エージェントオレンジに関してベトナム現地を取材した。
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原題名
The Fog of Agent Orange(SCIENTIFIC AMERICAN June 2016)
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エージェントオレンジ/ダイオキシン/ランチハンド作戦/始原生殖細胞/エピジェネティクス/胞状奇胎