
木星の衛星エウロパには氷の地殻の下に海がある。その海水が,氷の割れ目を通って間欠的に噴出,巨大な噴水のようなプルームを形成している様子がハッブル宇宙望遠鏡によって観測された。以前の観測からプルームが存在する可能性が指摘されていたが,今回の観測で確証された。
エウロパの海の底からは熱水が噴出していると考えられ,地球の海底の熱水噴出孔周辺に群集しているような生物がいる可能性がある。探査機でプルームの組成を詳しく調べれば,そうした生命が本当に存在するかどうかわかると期待されている。
現在,欧州と米国がそれぞれ2020年代前半の打ち上げを目指して木星探査機の準備を進めている。日本は欧州のミッションに加わり,搭載する観測装置の開発に取り組んでいる。
著者
中島林彦 / 協力:関根康人
中島は日経サイエンス編集長。関根は東京大学大学院准教授(理学系研究科地球惑星科学専攻)。専門はアストロバイオロジーと地球惑星システム進化学。生命が存在する,もしくは存在しそうな惑星や衛星が,どのようにして誕生,進化して現在のような姿になったのか研究している。欧州が主導する木星探査のJUICEミッションの日本の研究グループの代表(プロジェクトサイエンティスト)を2015年から務めている。