日経サイエンス  2017年1月号

nippon天文遺産 第3回

日本最古の星野写真乾板

中島林彦(編集部) 協力:渡部潤一/中桐正夫(ともに国立天文台)

国立天文台の旧図書庫の中から極めて古い時代と思われる写真乾板が発見された。かなりの枚数があり,乾板に記された撮影年月日を見ると,1890年代のものもあった。夜空の広域を撮影した星野写真で,その写真のスケールから割り出した望遠鏡の焦点距離から,撮影に用いられたのがブラッシャー天体写真儀であることがわかった。ブラッシャー天体写真儀は1890年代から1960年代前半まで主に掃天観測に使われたが,第二次世界大戦中に起きた天文台の本館火災のため,1945年以前の写真乾板は全て失われたとみられていた。それだけに,天文台関係者にとっても,この発見は大きな驚きだった。これほどの枚数の戦前の写真乾板が残っているのであれば,後に東京天文台の第2代台長となる東京帝国大学の平山信教授が明治33年(1900年),日本において新たな小惑星を最初に発見するきっかけになった2枚の乾板も含まれているのではないか? 調査の結果,まさしくその2枚が見つかった。




再録:別冊日経サイエンス245「天文遺産 宇宙を拓いた日本の天文学者たち」

著者

中島林彦 / 渡部潤一 / 中桐正夫

中島は日経サイエンス編集長。渡部は国立天文台の副台長。中桐は国立天文台天文情報センターの特別客員研究員。

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