日経サイエンス  2017年1月号

特集:時空と量子もつれ

編集部

 時空と重力の理論である一般相対性理論によると,異なる2つの時空の間を結ぶ“近道”,「ワームホール」が理論的には存在しうる。一方,ミクロの世界を記述する量子力学によれば,2つの粒子が量子力学的に結び付いた「量子もつれ」状態にあると,両者が非常に遠く離れていても,一方に操作を加えたとたんにもう一方にも変化が起きる。ワームホールも量子もつれも不思議な現象だが,実は両者は等価であるとの説が提唱されている。両者の結びつきを解き明かすカギとなるのが「エンタングルメント・エントロピー」という物理量で,この分野の研究を大きく発展させたのが,2人の日本の研究者が提唱した「笠・高柳公式」だ。時空の量子論の研究最前線を紹介する。
 

 
ワームホールと量子もつれ 量子時空の謎  J. マルダセナ

ホログラフィー原理を解く エンタングルメント・エントロピーと笠・高柳公式

中島林彦 協力:大栗博司/高柳 匡