日経サイエンス  2016年12月号

特集:人新世を考える

人類を追い詰める格差社会

A. ディートン(プリンストン大学)

ここ数十年,多くの国で貧富の差が拡大してきた。所得の差すなわち社会悪ではないが,少数の人々が政治や経済のルールを自分たちが有利になるように変えると,技術革新と経済成長が阻害される。消費・貧困・福祉に関する分析でノーベル経済学賞を受賞した著者は,この問題に対処しなければ社会がさらなる繁栄を達成する見込みは薄いと指摘する。
 

 
再録:別冊日経サイエンス236「心と行動の科学」
再録:別冊日経サイエンス231「アントロポセン──人類の未来」

著者

Angus Deaton

プリンストン大学の公共政策・国際関係大学院および経済学部で経済学・国際関係のドワイト・アイゼンハワー記念名誉教授を務めている。消費・貧困・福祉に関する分析で2015年のノーベル経済学賞を受賞。英国と米国の市民権を持ち,英国学士院のフェローかつ米国科学アカデミーのメンバー。

原題名

The Threat of Inequality(SCIENTIFIC AMERICAN September 2016)

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