日経サイエンス  2016年12月号

特集:人新世を考える

地層に刻まれる人類の時代

J. ザラシーウィッツ(英レスター大学)

人類は気候や生態系,自然環境まで,地球の様々なシステムを変えた。アルミニウムやプラスチック,コンクリート,炭素微粒子(化石燃料の燃焼に伴って排出),殺虫剤,放射性物質の微粒子(核爆弾から放出)を陸地や海にまき散らしてきた。これらは地層に恒久的な痕跡を残し,新たな地質年代区分「人新世(アントロポセン,人類の時代の意)」を特徴づけるものになりうる。だが,これらの影響は巨大火山噴火や小惑星衝突といった過去の大変動に本当に比肩しうるのか? 地質年代の名称は国際層序委員会(ICS)で議論を重ねたうえで認定される。人類が地球に及ぼしている明らかな影響をめぐって,科学者たちは活発な議論を続けている。

 

 
再録:別冊日経サイエンス231「アントロポセン──人類の未来」

著者

Jan Zalasiewicz

英レスター大学の古生物学教授で,国際層序委員会の人新世ワーキンググループを率いている。絶滅した古代のプランクトン,フデイシをこよなく愛する。

原題名

A History in Layers(SCIENTIFIC AMERICAN September 2016)

サイト内の関連記事を読む

キーワードをGoogleで検索する

完新世人新世国際層序委員会準鉱物マイクロプラスチックハーバー・ボッシュ法デッドゾーン放射性降下物生痕化石