
「酵母は飢餓に陥ると自分自身のタンパク質の分解を始める。その現象を光学顕微鏡で捉えることができたという驚きが研究の出発点になった」。ノーベル生理学・医学賞受賞が決まった10月3日夜,大隅良典東京工業大学栄誉教授は同大学での記者会見の冒頭の挨拶でこう語った。一人で始めた研究に,やがて若い研究者たちが加わって裾野が広がり,世界に注目される分野に発展したという。大隅博士は会見で,日本が中心となって引っ張ってきたオートファジー研究の歴史を振り返り,改めて基礎研究の重要性を強調した。(10月3日の共同会見および同日と翌4日に行われた日本経済新聞社による単独会見でのやりとりを再構成した)
著者
日本経済新聞科学技術部