
恐竜が王者として君臨していた中生代,哺乳類の遠い祖先はその影に怯えながら小さな虫を追いかけてひっそりと暮らしていた──。そんなイメージを払拭するような発見が世界で相次いでいる。この15年で初期哺乳類の化石が続々と見つかり,恐竜が地球を支配する以前から哺乳類は多様に進化し環境に適応していた証拠が得られた。哺乳類の祖先は脳の巨大化を実現したことで,恐竜とは異なる鋭い感覚を獲得し,複雑な歯を進化させ,代謝を向上させて寒さや暗闇の中で生きる能力を身につけた。恐竜と共存しながら力を蓄えた哺乳類は,恐竜がいなくなった途端,その空きスペースに一気に拡大したと考えられる。
著者
Stephen Brusatte / Zhe-Xi Luo(羅哲西)
ブルサットは英スコットランドにあるエディンバラ大学の古生物学者。本誌での最近の記事は「恐竜を滅ぼした小惑星衝突プラスアルファ」(日経サイエンス2016 年3月号)。ルオはシカゴ大学の古生物学者で,哺乳類の初期の進化について研究している。
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「恐竜を滅ぼした小惑星衝突プラスアルファ」,S. ブルサット,日経サイエンス2016年3月号。
Meet the Early Mammals:初期哺乳類の論文(英語)へのリンク集
原題名
Ascent of the Mammals(SCIENTIFIC AMERICAN June 2016)
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