
先進国ではがんと生活習慣病,途上国ではいまもなお感染症が問題──という認識は概ね正しいものの,健康問題に関する多くの既存データは不正確または欠落しており,国別の比較が困難なものもある。そこで内科医で経済学者のクリストファー・マレーは全世界の疾病・障害の実情把握に取り組んできた。ビル&メリンダ・ゲイツ財団の支援を得て2007年にワシントン大学(シアトル)に「保健指標評価研究所(IHME)」を設立,データを全世界から集めて高度なスーパーコンピューターモデルで処理し,信頼性の高い数値を算出している。人類の健康状態を顕わにしたこのデータ集から,多くの新事実が浮かび上がってきた。
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原題名
Health Check for Humanity(SCIENTIFIC AMERICAN August 2016)
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保健指標評価研究所(IHME)/世界の疾病負担研究(GBD)/アンサンブル法