
日本の天文学はいかなる歩みを経て今日に至ったのか。江戸時代に遡る天文台の遺構や天体望遠鏡などの観測機器,暦や歴史的な天文書など,いわゆる「天文遺産」を通じて天文研究の大きな流れを知り,先人の努力と情熱を感得することは,天文学の現在を深く理解し,将来を展望するのに役立つ。この分野に造詣が深い国立天文台の渡部潤一副台長の協力を得て日本の主な天文遺産を紹介する連載を始める。初回は渡部副台長に天文遺産にかける思いと天文遺産をめぐる最近の動きを聞いた。天文遺産の保全に取り組むきっかけは,子ども時代の遊び場だった故郷,会津の鶴ヶ城近くの築山が,現存する日本最古の天文台跡と知ったことだったという。
著者
渡部潤一(わたなべ・じゅんいち)
国立天文台副台長。専門は太陽系天文学,特に彗星や小惑星流星などの観測的研究に取り組んでいる。天文学の広報普及活動にも力を入れており,一般向けの著作を数多く出している。
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