日経サイエンス  2016年11月号

創刊45周年記念特別インタビュー

梶田隆章が語る宇宙・素粒子研究の未来

語り:梶田隆章(東京大学宇宙線研究所) 聞き手:中島林彦(編集部)

 2015年にノーベル賞を受賞した梶田隆章博士は,ニュートリノに質量があるために生じる「ニュートリノ振動」の発見で知られるが,現在は東京大学宇宙線研究所長としてニュートリノはもちろん,重力波や宇宙線,暗黒物質などの様々な宇宙・素粒子関連プロジェクトに関わっている。宇宙と素粒子には強い結び付きがある。例えば宇宙における物質と反物質の不均衡は大きな謎だが,謎解きのカギはニュートリノにおける粒子と反粒子の振る舞いの違いにあるとみられ,天文観測で存在が明らかになった暗黒物質の正体は新タイプの素粒子だと考えられている。日経サイエンス創刊45周年の記念インタビューとして梶田博士に宇宙・素粒子研究の将来展望を聞いた。

著者

語り:梶田隆章 / 聞き手:中島林彦

東京大学宇宙線研究所長。2015年ノーベル物理学賞受賞。1959年埼玉県出身。埼玉大学を卒業後,東京大学大学院に進む。小柴昌俊教授(当時)の研究室でカミオカンデの建設に携わり,陽子崩壊を探索する過程でニュートリノ振動の兆候をつかむ。1992年東京大学宇宙線研究所助教授となりスーパーカミオカンデの建設に携わる。1998年,スーパーカミオカンデを用いた実験でニュートリノ振動を発見。1999年東京大学宇宙線研究所教授。2008年から現職。中島は日経サイエンス編集長。

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