日経サイエンス  2016年11月号

フロントランナー挑む 第65回

金・銀・銅含む黒鉱 沖縄海底で“養殖”へ:野崎達生

小玉祥司(日本経済新聞シニア・エディター)

海底の火山活動を利用して金や銅などの鉱石を人工的に育てる
沖縄沖の海底に試験装置を設置してデータ収集を進め
資源・エネルギーの視点から環境問題の解決を目指す

 

 メタンハイドレートやレアアース泥,マンガン団塊など海底に眠る資源が注目されている。日本は世界第6位の排他的経済水域を持ち,エネルギーや金属資源を自給できる可能性を秘めると期待は高い。しかし実用化には採掘技術だけでなく,海洋汚染といった環境問題をいかに解決するかなど壁が存在する。では採掘するのではなく,金や銅などの有用な金属資源を含む鉱石を“養殖”できないか。海洋研究開発機構(JAMSTEC)研究員の野崎達生は,環境にも優しいそんな資源開発の試みに取り組んでいる。   (文中敬称略)

 

 

再録:「挑む!科学を拓く28人」

 

野崎達生(のざき・たつお)
海洋研究開発機構グループリーダー代理/研究員。1980年生まれ,新潟市出身。2008年東京大学大学院工学系研究科地球システム工学専攻博士課程修了,海洋研究開発機構に入る。2016年同機構海底資源研究開発センターグループリーダー代理。2009年から東大客員研究員,2015年から神戸大学客員准教授を兼務。

サイト内の関連記事を読む