
理論物理学者でハーバード大学教授のリサ・ランドール博士が暗黒物質の新説を提唱した。新説によれば暗黒物質は天の川銀河などにおいて,普通の物質と同じような分布が実現している可能性がある。つまり銀河円盤と重ね合わさるような暗黒物質でできた円盤で,それが地球への彗星衝突にも影響を及ぼした可能性があるという。博士来日の折,新説を考えることになった背景や最近の物理学の話題などを聞いた。
著者
語り:Lisa Randal / 聞き手:吉川和輝
ランドールは理論物理学者。ハーバード大学物理学教授として素粒子物理学と宇宙論を研究する。1990年,ワープした余剰次元の理論モデルを提唱して注目を集める。暗黒物質が従来考えられていたような単一の種類のものでなく,その一部は相互作用をするPIDM(Partially Interacting Dark Matter)であり,このPIDMが銀河内に薄い円盤状に集まってダークマター円盤を作るとするダブルディスク・ダークマター(DDDM)モデルを提唱した。このダークマター円盤の存在が,地球への定期的な彗星衝突にも影響を与えているという壮大な仮説を近著の『ダークマターと恐竜絶滅 新理論で宇宙の謎に迫る』(NHK出版)で展開している。SCIENTIFIC AMERICANの編集顧問。吉川は日本経済新聞編集委員。
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