日経サイエンス  2016年10月号

はやぶさ微粒子が語る波乱の小惑星史

中島林彦(編集部) 協力:圦本尚義(北海道大学/宇宙航空研究開発機構)

 探査機「はやぶさ」が6年前,地球に持ち帰った小惑星イトカワの微粒子は初期分析の結果が地球帰還から約1年後に米Science誌で特集され一般にも大きく報じられたが,その後も着実に研究が進んでいる。最近のトピックは微粒子表面に数十nmスケールの階段状の構造や,プツプツと泡立ったような構造の存在がわかったことだ。そうした構造はイトカワに起きた少なくとも4つの出来事を物語っている。イトカワの母天体が誕生間もない頃,高温であったこと,天体との衝突,宇宙風化という現象による小惑星表面の変質,そしてイトカワ表層部が流動している事実だ。微粒子の“顔”には小惑星46億年の歴史が刻み込まれているようだ。

 

 

再録:別冊日経サイエンス223「地球外生命探査」

 

著者

中島林彦 / 協力:圦本尚義

中島は日経サイエンス編集長。圦本は北海道大学教授,JAXA宇宙科学研究所特任教授。同研究所の地球外物質研究グループのグループ長を務める。専門は地球宇宙化学・地球惑星科学。隕石やイトカワ微粒子の分析に取り組んでいる。

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