日経サイエンス  2016年10月号

特集:ゲームを科学する

ビデオゲームで認知力アップ

D. バヴェリア(スイス・ジュネーブ大学/ロチェスター大学) C. S. グリーン(ウィスコンシン大学マディソン校)

 シューティングゲームなど展開の速いアクションゲームが脳の働きを高めるとは必ずしも考えられていなかった。だが過去15年のいくつかの研究から,これらを頻繁にプレイすると様々な認知能力が向上することがわかった。注意力や迅速な情報処理,課題の切り替えの柔軟性,頭の中で物体の回転を思い描く力など,様々な認知機能の向上が厳密な心理テストで実証されている。ゲームが攻撃性を助長したり依存を招く懸念はいまだにある。だが,ゲームがどのように一部の認知機能を高めているかが判明したため,認知障害のある人向けの非暴力的なアクションゲームの開発が始まっている。

著者

Daphne Bavelier / C. Shawn Green

バヴェリアはスイス・ジュネーブ大学心理教育科学科の教授でロチェスター大学脳認知科学科の教授を兼務。グリーンはウィスコンシン大学マディソン校心理学科の助教。

関連記事
“頭をよくする薬”の現実」,G. スティックス,日経サイエンス2010年1月号。
関連動画
ウィスコンシン大学マディソン校のオンライン公開講座の一環としてビデオゲームと学習に関する著者グリーンの講義(英語) Games for Better Brains  著者,バヴェリアの講演

原題名

The Brain-Boosting Power of Video Games(SCIENTIFIC AMERICAN July 2016)

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