
人工知能(AI)が本格的な研究分野としてスタートしたのは1950年代半ばのことで,当時の研究者たちは,自分たちが現役のうちに人間の知能を模倣できるようになると考えていた。しかし,当時のアルゴリズムと計算能力では人間の知能を模倣できないことが明らかになり,希望は打ち砕かれた。AIを実現しようなどという試みは思い上がりもいいところだと切り捨てる懐疑論者もいた。ところが,この数年でAI研究は復活した。脳のニューロンのネットワークを大まかに模倣して作られたソフトウエアによって,AIに対する当初の期待を実現できる可能性が示されたのだ。ディープラーニングは複雑なニューラルネットワークを使う技術で,抽象的な概念を学習する能力を持つ。すでに,人間に匹敵するレベルで実行できるタスクもある。
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再録:別冊日経サイエンス239「人工知能 機械学習はどこまで進化するのか」
再録:別冊日経サイエンス216「AI 人工知能の軌跡と未来」
著者
Yoshua Bengio
カナダのモントリオール大学のコンピューター科学教授で,人工知能研究が息を吹き返す契機となったディープラーニングによる機械学習法の開発者のひとり。
原題名
Machines Who Learn(SCIENTIFIC AMERICAN June 2016)
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ディープラーニング/人工知能/コネクショニズム/畳み込みニューラルネットワーク/再帰型ニューラルネットワーク