
免疫系の能力を増強し,がん細胞を攻撃して抑え続ける新世代の治療法が,過去5年間に目覚ましい成果を上げた。「免疫チェックポイント阻害剤」「樹状細胞ワクチン」「キメラ抗原受容体発現T細胞」という3つの新アプローチが実用化ないし臨床試験の段階にあり,悪性の肺がんや皮膚がん,様々な白血病とリンパ腫など,数千人の患者が治療を受けて多くが治癒したようだ。より安全で効果的な治療を目指し,新しい方法やそれらの組み合わせが研究されている。サイエンスライターの著者が米国での実例をリポートする。併せて専門家による以下のコラムを掲載。
「T細胞を鍛える樹状細胞ワクチン」B. M. カレノ/E. R. マーディス(ともにワシントン大学)
「腸内細菌で免疫応答を引き出す」M-L. アレグレ/T. F. ガジュウスキー(ともにシカゴ大学)
代表的な免疫療法の作用を示したアニメーション
著者
Karen Weintraub
フリーランスのサイエンスライター。健康・医療に関する記事をオンラインニュースSTAT(http://www.statnews.com)やUSA Today紙,New York Times紙などに定期寄稿している。
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「がん免疫療法の新アプローチ」,J. D. ウォルコック,日経サイエンス2015年1月号。
原題名
The Cancer Defense(SCIENTIFIC AMERICAN April 2016)
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