
免疫系の能力を増強し,がん細胞を攻撃する「がん免疫療法」が近年に目覚ましい成果を上げ,新段階を迎えた。なかでも「免疫チェックポイント阻害剤」「樹状細胞ワクチン」「キメラ抗原受容体発現T細胞(CAR-T)」という3つの新アプローチが注目され,悪性の皮膚がんや白血病などの治療で好成績を収めている。副作用などの課題もあるが,より安全で効果的な治療を目指す研究が続けられており,腸内細菌を調整して望ましい免疫応答を引き出す試みも。免疫チェックポイント阻害剤に道を開いた本庶佑・京都大学名誉教授,がん治療の新たな糸口として注目される制御性T細胞を発見した坂口志文・大阪大学特任教授の研究を含め,新ステージに入った免疫療法のいまをリポート。
がん免疫療法2016 3つのアプローチ K. ウェイントラーブ
記事内コラム
T細胞を鍛える樹状細胞ワクチン B. M. カレノ/E. R. マーディス
腸内細菌で免疫応答を引き出す M-L. アレグレ/T. F. ガジュウスキー
本庶 佑 免疫チェックポイント阻害剤に道 竹下敦宣
坂口志文 制御性T細胞を発見 永田好生