
宇宙膨張が加速していることがわかった。しかしなぜ? 暗黒エネルギーという正体不明の存在が重力を上回る斥力を生み出しているとする説や,現在の重力理論に修正が必要であるとする説が提唱されている。また暗黒エネルギーの正体については少なくとも2説がある。 謎の解明を目指して「暗黒エネルギーサーベイ(DES)」というプロジェクトが進んでいる。宇宙の膨張速度がどのように時間変化してきたのか,銀河が互いの重力でより集まることが,暗黒エネルギーによってどの程度阻害されたのかを探ることで,これらの仮説を検証する。DESは4つの異なる天文現象の広域観測から,こうした問いの答えを得ようとしている。超新星(Ⅰa型超新星)と宇宙初期に生じた音波の痕跡(バリオン音響振動),重力レンズ効果(銀河などの重力によって光の進行ルートが曲がる現象)そして銀河団だ。
著者
Joshua Frieman
暗黒エネルギーサーベイの研究代表者で,理論と観測の両面から宇宙論研究に取り組んでいる。米国立フェルミ加速器研究所(イリノイ州バタビア)のシニア研究者であり,シカゴ大学カブリ宇宙物理学研究所で天文学・天体物理学教授を務める。
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「宇宙を造った見えざる手 暗黒エネルギー」, C. J. コンセリス, 日経サイエンス2007年5月号。
「すばるで迫る暗黒エネルギー」,中島林彦,日経サイエンス2008年3月号。
暗黒エネルギーサーベイのサイト www.darkenergysurvey.org
原題名
Seeing in the Dark(SCIENTIFIC AMERICAN November 2015)
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