
著者のリースは1998年に宇宙の膨張が加速していることを発見し,2011年のノーベル物理学賞を共同受賞した。宇宙膨張の加速という驚きの事実をもたらしている原因は「暗黒エネルギー」と名づけられたが,その後の20年近い徹底的な研究にもかかわらず,暗黒エネルギーの正体は不明で,むしろ謎は深まっている。暗黒エネルギーはなぜ,理論から予測されるよりもはるかに小さいのか? 宇宙の未来にどんな意味を持つのか? 暗黒エネルギーは私たちがマルチバース(多元宇宙)に生きているという結論につながるのか? 近年に始まったいくつかの観測と今後予定されている新プロジェクトによって,何らかの答えがついに見えてくるだろう。
著者
Adam G. Riess / Mario Livio
リースはジョンズ・ホプキンズ大学と宇宙望遠鏡科学研究所に所属する宇宙物理学者。遠方の超新星を調べた研究によって宇宙膨張の加速を明らかにし,この発見によって2011年のノーベル物理学賞を共同受賞。リヴィオは24年間にわたりハッブル宇宙望遠鏡に携わってきた宇宙物理学者。『偉大なる失敗 天才科学者たちはどう間違えたか』(邦訳は早川書房,2015年)など一般向けの人気を博した著作も多い。
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「減速から加速へ 宇宙膨張の奇妙な変化」,A. G. リース/M. S. ターナー,日経サイエンス2004年5月号。
「残された謎 宇宙定数の正体を追え」,L. M. クラウス/M. S. ターナー,日経サイエンス2004年12月号。
Hunting for Dark Energy:暗黒エネルギーに関する天文観測施設を紹介したスライドショー
原題名
The Puzzle of Dark Energy(SCIENTIFIC AMERICAN March 2016)
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