
石炭火力発電所から出るCO2を回収して地中に貯留するプロジェクトが地球温暖化対策の主役として各国で期待されている。石炭火力発電への依存度が高い米国では,低品質の褐炭をガス化し,タービンで燃やして発電しつつ,発生したCO2を回収して油田に注入する巨大プラントの建設がミシシッピ州で進んでいる。注入したCO2の1/3が地中にとどまるとされるが,石油を燃やせば新たにCO2が出る。またミシシッピ州のプラントや同様の施設はコストが非常に高く,経済的な懸念も出ている。すでに33のCO2回収・貯留プロジェクトが停止または中止となった。有効で手頃な炭素回収手段がないと,COP21の合意の実現が危うくなりそうだ。
原題名
The Carbon Capture Fallacy(SCIENTIFIC AMERICAN January 2016)
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気候変動/炭素回収/COP21/クリーンコール/エネルギー/CCS