日経サイエンス  2016年4月号

素粒子で地球を透視

田中宏幸(東京大学地震研究所) G. ベッリーニ/P. ストロリン(ともにイタリア国立原子核物理学研究所)

地球の中を直接見ることはできないが,地球内部を伝わる波,「地震波」を各地で観測して,その伝わり具合を詳しく調べることで地球の内部構造がわかってきた。実は地震波以外にも地球内部を通り抜けるものがある。ミュー粒子とニュートリノという2種類の素粒子だ。ミュー粒子は宇宙から降ってくる高エネルギー粒子が大気と衝突して生じるもので,地下100m以上まで侵入してくる。一方,ニュートリノは地球内部に膨大な量が存在する放射性元素が崩壊する際に発生して地表まで出てくる。そこでこれら2種類の素粒子を使って地球を透視しようという研究が進んでいる。ミュー粒子を使えば火山の上部に上がってきたマグマの状態がわかり,ニュートリノを測定すれば地球の熱源となっている放射性元素の存在状況を探ることができる。日本とイタリアが研究をリードしている。

著者

田中宏幸/Gianpaolo Bellini/Paolo Strolin

田中は東京大学地震研究所教授。火山ミュオグラフィのパイオニア。南極点にあるニュートリノ観測施設「アイスキューブ」のデータを用いた地球全体のトモグラフィーにも取り組んでいる。ベッリーニはイタリア国立原子核物理学研究所(INFN)の名誉所員。素粒子と宇宙線の実験物理学が専門で,ミラノ大学のほか欧州の主要研究所で研究,ボレキシーノ実験の実現に尽力した。ストロリンはINFNとイタリアのナポリ大学の名誉教授。ニュートリノ物理学と火山ミュオグラフィの重要な実験を主導してきた。

原題名

Penetrare i misteri della Terra(Le Scienze(SCIENTIFIC AMERICANイタリア版)August 2015)

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