
様々な遺伝性疾患を治すために正常に機能する遺伝子を患者に導入する遺伝子治療は期待の先端医療だが,初期の試みは問題続きだった。導入遺伝子を目的の場所で適切に活性化させる制御ができなかったのが一因だ。そこで,治療用遺伝子に“スイッチ”を取り付け,必要に応じて活性を確実にオン・オフする研究が進んでいる。1つは昆虫の脱皮に注目したもの。エクジソンという“脱皮ホルモン”が脱皮に関する様々な遺伝子を起動するマスタースイッチになっており,この仕組みを人間用に手直しした。がん免疫療法と組み合わせた米国での臨床試験で有望な結果が出ている。リボザイムというRNAを用いて遺伝子の発現を制御するアプローチもある。
著者
Jim Kozubek
マサチューセッツ州ケンブリッジに住むコンピューター科学者でライター。
原題名
An On/Off Switch for Genes(SCIENTIFIC AMERICAN January 2016)
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遺伝子治療/エクジソン/がん免疫療法/サイトカイン/インターロイキン/リボザイム/リボスイッチ