日経サイエンス  2016年4月号

特集:惑星研究最前線

太陽系にもスーパーアース? 惑星Xを探せ

M. D. レモニック(サイエンスライター)

太陽系の外縁部には,変わった軌道で太陽を公転する氷の天体がいくつかある。「近日点引数」という軌道要素がほぼ等しく,単なる偶然でそろったとは考えにくいのだ。このことから,一部の科学者は太陽系にまだ知られていない惑星Xが存在して,それが及ぼす重力によってこれら小天体の軌道が調整された可能性があると考えている。1つあるいは複数の「スーパーアース」(質量が地球の10倍程度までの惑星)が海王星のはるか外側の軌道を周回しているという仮説で,これを裏づける証拠があるという。そうした惑星Xがあったとしても,遠く暗すぎるため既存の望遠鏡ではとらえられないだろうが,将来できる観測施設なら可能かもしれない。

 
 
【ポッドキャスト】Planet X Gets X’d Out
惑星Xの存在を示唆する証拠を解説

 

 

再録:別冊日経サイエンス223「地球外生命探査」

 

著者

Michael D. Lemonick

サイエンスライター。著書に「Mirror Earth: The Search for Our Planet’s Twin 」(Walker Books,2012年)など。Time誌の科学記者を21年務め,最近SCIENTIFIC AMERICAN編集部にオピニオンエディターとして加わった。

原題名

The Search for Planet X(SCIENTIFIC AMERICAN February 2016)

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