
脳に蓄積するタウタンパク質が病気を引き起こしている可能性を検証し
タウの凝集を阻害する治療薬の候補の開発を急いでいる
認知症のアルツハイマー病が発見されて110年が過ぎた。いまだに根本治療は見つかっておらず,超高齢社会に影を落とす。患者の脳にはアミロイドβとタウという2種類のタンパク質の“ごみ”が蓄積し,神経細胞が死ぬことがわかっている。これまでアミロイドβに対するワクチンなどの開発が進んだが,治療薬となったものはまだない。国立長寿医療研究センターの認知症先進医療開発センター分子基盤研究部部長の高島明彦はタウが主犯ではないかと疑い,タウをターゲットにした治療薬の開発に挑んでいる。
(文中敬称略)
高島明彦(たかしま・あきひこ) 国立長寿医療研究センター 認知症先進医療開発センター分子基盤研究部部長。1954年長崎県生まれ。1979年九州大学理学部生物学科卒業。1981年同大学院修士課程修了。佐賀医科大学,米国立衛生研究所を経て三菱化学生命科学研究所主任研究員。1997年,理化学研究所脳科学総合研究センターアルツハイマー病研究チームリーダー。2011年から現職。2016年4月から学習院大学理学部教授に就任予定。日本認知症学会理事。著書に『淋しい人はボケる~認知症になる心理と習慣~』(幻冬舎新書)などがある。