日経サイエンス  2016年3月号

「ここ」とはいったいどこなのか? 非局在性の不思議

G. マッサー(SCIENTIFIC AMERICAN編集部)

日常生活では,距離と位置は当然の概念だ。だが物理学の考え方を突き詰めると絶対的な位置などというものはそもそも存在せず,この宇宙は非局在的だと考えられると著者は考察する。重力に関するニュートンの考え方は質量を持つ物体が距離を超えて瞬時に引力を及ぼすというものだが,アインシュタインはそうした魔法じみた非局在的な作用を排除すべく一般相対性理論を構築した。曲がった時空から重力が生じ,それが光速という有限のスピードで伝わる。だが同時に,時空が変形するということは時空自体が絶対的な位置を定義できないことを意味し,より深いレベルでの非局在性を導入する結果となった。この相対論の黙示について考えてみよう。

 

 

【関連動画】General Relativity at the Beach(英語)一般相対性理論をやさしく解説したビデオ

 

 

再録:別冊日経サイエンス229「量子宇宙 ホーキングから最新理論まで」

原題名

Where Is Here?(SCIENTIFIC AMERICAN November 2015)

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