
言語学習についての議論は多いが,著者は生後6カ月までを言語の「敏感期」と呼び,あらゆる言語の音を最も鋭敏に認識できる時期と位置づける。母国語だけでなく,世界中のあらゆる言語のいずれも習得できる能力を人は備えているのだ。だが,実際に言語能力を開花させるには,親や大人たちの十分な語りかけが不可欠だ。テレビや録音の音声には効果がみられない。柔軟性のある脳が,それぞれの言語に特有の音を認識することで,その言語に対する神経系の接続が確立する。脳磁計を用いて乳児の音の聞き取りの能力を判定し,発達過程での障害を早期に見つける研究も進んできた。
再録:別冊日経サイエンス259『新版 認知科学で探る心の成長と発達』
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著者
Patricia K. Kuhl
ワシントン大学(シアトル)でベゾス家族財団幼児学習寄付講座の教授ならびに学習・脳科学研究所の共同所長を務めている。全米科学財団(NSF)が資金提供する学習科学センターであるLIFEセンターの所長も務める。
原題名
Baby Talk(SCIENTIFIC AMERICAN November 2015)
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言語/学習/音素/幼児語/ペアレンティーズ/親語/マザリーズ/母親語/自閉症/学習障害