
豊かな発想力を示す一方で,無謀な行動をとりがちな10代。その理由は脳のアンバランスな成長過程にあることがわかってきた。脳はニューラルネットワークの増強によって発達していくが,感情を生み出す大脳辺縁系のネットワークが思春期に強化されるのに対し,冷静な判断を促す前頭前皮質は20代になるまで成熟しない。このミスマッチがティーンエイジャーを危険な行動に駆り立てているとみられる。思春期の開始時期は世界的に早まる傾向にあるため,ミスマッチの期間は長くなっている。親や社会が成長期の脳の特徴を理解することで,子どもの行動が異常なものかどうかを見きわめ,子ども自身の将来設計に役立てることができる。
著者
Jay N. Giedd
カリフォルニア大学サンディエゴ校の小児青年精神医学科長で,ジョンズ・ホ プキンズ大学ブルームバーグ公衆衛生学部の教授を兼任。また,Mind, Brain, and Education誌の編集長を務めている。
原題名
The Amazing Teen Brain(SCIENTIFIC AMERICAN June 2015)