日経サイエンス  2016年2月号

特集:古代エジプトの社会と科学

編集部

バビロンの空中庭園やオリンピアのゼウス像など地中海周辺で栄えた古代文明の巨大建造物は「世界の七不思議」と呼ばれ,人々の想像力をかき立てるが,現存するのは「ギザの大ピラミッド」だけだ。古代エジプトの歴代の王が建設したピラミッドの中でも最大のもので,高さ約150m。4500年前にクフ王が築いた。建設には膨大な労働力が必要で,やせこけた,みすぼらしい身なりの人々が鞭に打たれながら巨石を運び,積み上げたとみられていた。しかしそうしたイメージが誤りであることが,近年の発掘調査でわかってきた。建設に携わった人々の動機は宗教と強く結びついている。約4000年前の棺に記された夜空の星々の運行表の研究から,古代エジプトの人々の宗教観の新たな一面が見えてきた。

 

 

覆る定説 ピラミッドを築いた人々  Z. ゾーリッチ

冥界ナビゲーター 棺に描かれた天体運行表  S. サイモンズ/E. タスカー

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